- またあのお店が閉店するんだって
- あれ?この前まであそこにあった店はなんだっけ?
- また新しい店ができたな
鎌倉を歩いていると、いつも「この空き地、前はなんだっけ?」と思ったり、「また新しいお店ができるんだな」と思ったり、本当にお店の入れ替わりの早さに驚きます。
アド街ック天国で放映された鎌倉「長谷」の現状
テレビの影響ってすごいですね。アド街ック天国で長谷の街が取り上げられてから、すべての車と人が長谷に向かって集結している印象があります。
この前も、車で出かけたときのことです。家に帰るとき大渋滞だったので「どこかで交通事故でもあったのかな」と思っていたのですが、なんのことはない「自然渋滞」でした。
平日の午前中にここまで混むとは・・・どう考えてもアド街ック天国で長谷が大々的に特集されてからに違いありません。
もっとも、アジサイの時期もこんな感じだったなと思いながら帰途につきました。
さよなら、美術工芸品のギャラリー
新しいお店がオープンする一方、閉店するお店もたくさんあります。長谷はこのところ閉店ブーム。こちらの美術工芸品のお店(確か壺とかお皿とか飾ってあった)も閉店となりました。
ちなみにこのお店は、飾ってあるものがあまりにも高級で、私は一度も入ることなくいつも素通りしてセブンイレブンへ直行しました。すみませんでした、一度は入ってみればよかった。
閉店してから言っても後の祭りです。
さよなら、三橋米店
同じく美術品のお店の並びの、三橋(みつはし)米店も閉店です。
今ってお米はみんなどこで買ってるんでしょう。うちは生協です。お米は重いので、生協の宅配しか考えられません。車で買い物に行ったとしても、お米をレジから車まで運ぶのはやっぱり大変だし、車から家のキッチンまで運ぶのはもっと大変。
昔はお米屋さんが御用聞きに来てくれて「鈴木さん、そろそろお米ないんじゃないの?」などと声をかけてくれたものです。母が「あら、本当だわ、お願いね」とよく言っていました。
お米屋さんはその家のお米がどのくらいの期間でなくなるのか、ちゃんと把握していたのです。すごいと思いませんか?
でも、三橋米店は閉店してしまいました。もうひとつ、長谷には「一柳(いちやなぎ)米店」が長谷観音交差点の近くにあります。先日オープンしたラグビー元日本代表の主将、廣瀬さんのスイーツのお店の真ん前です。
一柳米店ではたまにお米を買います。地元でも、一柳さんのお米はおいしいと評判です。ずっと営業していてほしいお米屋さんです。一柳米店がもしも閉店したら、長谷の米屋は全滅ということになります。
なんでも売っていた三橋(みつはし)金物店も閉店
同じくセブンイレブン並びの三橋金物店も閉店です。ここは金物だけでなく、なんでも売っていました。いわゆる「なんでも屋さん」です。
三橋のおばさんも「うちはね、なんでもあるのよ」と言っていましたがそのとおりです。金物はもちろん、調理器具、花や野菜の苗や土、お風呂のマットなど、およそ生活で必要なものはなんでも売っていました。
うちもこれまでずいぶんと三橋金物店には助けられました。「あ!あれがない!でもどこに行けば買える?三橋さんだ!」と何度駆け込んだことでしょう。
トマトの苗を植えようとしたとき、三橋金物店のおじさんが「これはなんでもよく育つよ」と推薦してくれた土を買いました。土は重いので、おじさんがすぐにバイクで運んでくれたのを覚えています。つい先日のことです。
地元のお客さんもかなり入っていたと思うんですが、時代の波に逆らえないのでしょうか。あるいはあまりにも立地が良いために、高値で交渉されたのかもしれません。
このあたりの路面店は狙っている会社や不動産業者が多いので、高値での交渉が頻繁にあったことも容易に予想されます。
三橋金物店さん、お宅がなくなったらこの辺の人たちはどこへ買いに行けばいいのでしょう。とにもかくにもお疲れ様でした。
定食屋しゃもじ並びのTabi-ji(運動靴屋さん)も閉店
鎌倉長谷で大人気の定食屋「しゃもじ」。その隣の隣あたりに、タビックスみたいな運動靴を販売している「Tabi-ji」というお店があったんですが、そこもちょっと前に閉店してしまいました。コロナが始まった2020年からすぐのころだったと思います。
当時は非常事態宣言も出ていて、観光客もほぼゼロに等しく、鎌倉のお店はどんどんつぶれていきました。Tabi-jiさんもそんなお店のひとつです。
とてもカラフルな足袋みたいな靴を販売していました。私は買ったことはなかったんですが、靴下も売っていたので何足か買いました。いまだに履いています。
テレビでも紹介されたTabi-jiさんだったのですが、さすがにお客さんがいなくなっては営業できません。地元のみんなにも愛されていたのですが、奈良(本店「」ある)に帰っていきました。
でも、また長谷にお店を出したいということで、たまに遊びに来てくれます。そのときはしゃもじさんで「久々のお帰り」会をやっているみたい。人から愛されるTab-jiのスタッフさんなのです。
Tabi-jiの後にできた「おたからや」はすぐに閉店
Tabi-jiさんがいなくなってから、じきに「おたからや」という買取の店ができました。ああいう買取の店ができると、なんだかオシャレ感が一気になくなりますね。もともとこのへんに買取の店は無理なんです。観光地ですからね、それに地元の人はわざわざ店に行って自分の家のものを売りません。
自分の家の何かを売る場合は、昔から地元で営業している「古物商」的な買取専門店を呼びますね。なのでおたからやはじきに閉店してしまいました。おたからやに人が入っているのをついぞ見かけたことはありませんでした。
おたからやが閉店してからは、ずっと空き物件です。この物件は立地としては申し分ないのですが、テナントの条件が「飲食不可」なんですよね。
飲食以外でお店をやるには、よほど考えないとすぐにつぶれます。それほど飲食って強いですね、観光地では。
雑貨屋さんの店主が言ってました。
「飲食はいいよね。一度店に入ったら席につくでしょ。そして食べ物や飲み物を何かしら頼むでしょ。雑貨屋は、店に入って来てもグルっとまわってたいがいは何も買わずにそのまま出ていくからね。」
そうなんですよね。飲食店には入ったらそのまま出るってことはまずないですけど、雑貨屋さんはフラっと立ち寄ってそのまま何も買わずに店を出ていくパターンのほうが多いですもんね。
コロナの3年間、飲食はなんとか残りましたが(もちろんつぶれた店もぎょうさんある)、アパレル関係は軒並み消えていきました。本当に気の毒です。
長谷は新しくてオシャレな店がどんどん出てきて、歩いていてもとても楽しい街になりました。
でも一方、消えていく昔ながらのお店もたくさんあります。店主が年をとって跡継ぎがいないとか、買収されたとか、理由はいろいろです。
新しい店ができて楽しさ半分、昔からのなじみの店が消えて寂しさ半分。住民の気持ちは複雑です。
閉店してしまったけれど、今までありがとう!
三橋さんのおじさん、おばさん、Tabi-jiのスタッフさん、今までありがとう。そして、Tabi-jiのスタッフさん、また帰ってきてね。待ってます。